本誌・連載小説の情感のこもる挿絵やイトウ、アメマス、スズキなど、魚類の生態細密画を担当する画家・浩而魅愉さん。瞳の輝きや鱗の一片から放つ命の潤いは、見る人に強い共感や臨場感をもたらす。しかも、ボールペンという日常の道具で描き出す微細な技は、幼少より鍛えた、基礎の積み重ねとその修練からだという。
「小さなころより生き物と触れ合うことで、多くのことを学んだ」と、浩而さん言う。その結果、耳や目、指先などの感覚機器を総動員し、さらに微細な感性をセンサーとして、生物の躍動感を測れるようになったという。
生き物たちの気持ちを理解し、ペン先から“その魂を放つ”浩而さんに、ボールペンによる細密画の楽しさ、生物をモチーフにする喜びなどについて、話をお聞きしました。
浩而魅愉(ひろじ みゆ)ボールペン画家
北海道札幌市生まれ。大都市でありながら多くの自然の残る札幌を拠点に北海道新聞など道内を中心に多くのメディアで活躍。美大卒業後、美術科教員として教鞭をとるが、画家として独立。あらゆるスタイルの画法に精通するが、最終的にボールペンという日常の道具で、驚くほど完成された生命観を表現する。『道展』での受賞多数。
映像制作◎田畑貴章 Movie by Takaaki Tabata