2017
05.19
『Fishing Café Vol.56』特集
“加賀百万石の釣り心・魚心”より

加賀百万石といえば、本州中央部に位置する中部地方のうち日本海に面する富山県、石川県、福井県を統治した旧加賀藩の領地を指します。
そこには、昔から日本海を代表する釣り文化が栄えてきました。
今号特集では、そうした釣りを愛する加賀衆の釣り心・魚心。
そして頑強さの中にも美を忘れない、加賀百万石の釣り文化を探っています。
そのなかで、江戸時代から藩士の武芸の鍛錬として、「山へ行け、海へ行け」と藩を上げて釣りを奨励した、「加賀藩士の釣りと生活」について詳しい北陸大学未来創造学部教授の長谷川孝徳氏にお話を聞きました。

釣りは仕える事、すなわち仕事也
- 加賀藩士の釣りと生活 -

江戸時代の初期、百万石を誇る最大勢力の外様大名である加賀藩は、徳川幕府に恭順の意を示す意味で、武芸のかわりに鮎釣りを武士の特権として奨励したというのは有名な話です。
剣のかわりに釣り竿を持って足腰の鍛錬やバランス能力、集中力などを養い、釣りを武士の隠れた武芸の鍛錬方法としたといいます。
縫い針から毛鉤づくりへと発展した「目細八郎兵衛(めぼそはちろべえ)商店」も「餌を使わず魚を多く釣る」という武士たちの強い影響があったそうです。
そこで、加賀の釣り文化を代表する「加賀藩士の釣りと生活」について、北陸大学未来創造学部教授の長谷川孝徳氏のお話しと「目細八郎兵衛商店」20代目店主、目細勇治さんによる落ち鮎釣りの写真をスライドショーで公開します。

長谷川孝徳(はせがわたかのり)

北陸大学未来創造学部教授
1955年大阪市生まれ。石川県立能楽文化会館(現県立能楽堂)、石川県立郷土資料館、石川県立歴史博物館学芸員を経て2007年より現職。現在小矢部市文化財保護審査委員も務める。共著に『おもしろ金沢考』(北國新聞社)、『石川県ってこんなとこ』(講談社)、『前田利家小百科』(かまくら春秋社)、『ビジュアルNippon江戸時代』(小学館)など。

語り◎長谷川孝徳 Talk by Takanori Hasegawa
写真◎望月 仁 Photographs by Hitoshi Mochizuki
釣り人◎目細勇二(目細八郎兵商店20代目店主)Angler byYuuji Meboso