2016
02.26
『Fishing Café Vol.52』特集
心地よく秘密めいた宿を巡る旅

名湯・名宿、日本の旅の原点はそこにあります。そして“釣り”は、その旅に確かな彩りを添えてくれます。
情緒のある山間の風景を背に豊富な薬湯で身体を休め、滋味のある食を箸でつまむ。
多くの釣り好きの文豪たちは、そうした風情を求めてひとりで長逗留し、あるいは仲間たちと釣りを楽しみながら、結果として多くの作品にその影響を残してきました。
『Fishing Café Vol.52』では「文士文豪が愛する湯・宿・釣り」をテーマに特集を組みました。
そこで、この特集から作家・田渕義雄さんが訪ねた北海道・道南の宿『八雲温泉・おぼこ荘』前編、後編と西木正明さんが訪ねた秋田県・乳頭温泉『鶴の湯』をハイライトコンテンツムービーとしてムービや音声スライドショーで紹介します。

South Hokkaido, Yakumo hot spring “OBOKO cottage”
「道南開拓ともに歩む、渓流最奥の宿」八雲温泉・おぼこ荘 前編

鱒釣りの聖地モンタナにも負けていない北海道道南、そして道央。
松前藩時代の鉱山開発とともに開拓された八雲温泉は、鉄分含有率の高い泉質。
古くから開拓者たちに愛されてきた温泉です。
その八雲温泉を代表する温泉宿“おぼこ荘”は、鉛川源流の渓の畔にあるエゾイワナ、ヤマメの里でもあります。
今回、作家の田渕義雄さんは、北海道・道南の“おぼこ荘”から道央のニセコへと巡り、旧友たちを訪ね「釣りと宿を」語ってもらいました。

South Hokkaido, Yakumo hot spring “OBOKO cottage”
「旧友と釣り語る、道央の尻別川、昆布川を巡る」八雲温泉・おぼこ荘 後編

北海道・道南の繊細な自然は、北へ行くにしたがい険しさを増します。
作家の田渕義雄さんは、八雲温泉を後にして旧友たちが待つ、ニセコへと足を運びました。
見事な円錐型から蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山。
その麓を巻き込むように蛇行する、尻別川の豊かな流れは大きなマスを育みます。
そしてシラカバやハンノキなど落葉樹に囲まれた昆布川は、マスだけでなく多くの野生生物の命をつなぐ流れです。
ニセコエリアの自然、そして釣りを語ってもらいました。

田渕義雄(たぶちよしお)

1944 年東京生まれ。作家。1982 年、八ヶ岳に程近い金峰山北麓の山里に居を移し、作家活動を続ける。自給自足的田園生活を実践。孤立無援を恐れず、自分らしく生きたいと願う人々に幅広い支持を得ている。釣り関連の代表的な著書に『フライフィッシング教書』(晶文社)他、自然関連、山暮らし関連の著書多数。

語り◎田渕義雄 Talk by Yoshio Tabuchi
写真◎足立 聡 Photographs by Satoshi Adachi
映像制作◎住 正徳 Movie by Masanori Sumi

The Accommodations an Author loves
「湯治と釣り、故郷の秋田を代表する私の愛する宿」秋田県・乳頭温泉【鶴の湯】

本誌の連載私小説『海鳴り山鳴りの日々』でもお馴染みの、直木賞作家・西木正明さんが最も大切している釣りは、故郷の秋田での渓流釣り。
かつての盟友たちと再会し、「釣り、飲み、語る」。
そうした時間を持つことで、いい意味で齢を重ねることの充実感があると言います。
その充実した時間、喜ばしい瞬間を支えているのが、秋田県田沢湖町の乳頭温泉『鶴の湯』です。
『鶴の湯』は乳頭温泉郷の中で最も古い歴史を持ち、秋田藩主の湯治場だった由緒ある温泉宿。
今なお、当時警護の武士が詰めた、茅葺き屋根の長屋「本陣」が残っており、嬉々とした表情で出陣する、多く釣り人を静かに送り出しています。
そこで、この由緒ある山里の湯治宿『鶴の湯』とブナの原始林に囲まれたイワナ釣りについて、話をうかがいました。
そのインタビューの一部を、ダイジェスト版・スライドショーとしてお伝えします。

西木正明(にしきまさあき)

作家 1940年、秋田県生まれ。早稲田大学教育学部中退。80年『オホーツク諜報船』で日本ノンフィクション賞・新人賞、88年作品集『凍れるひとみ』で第99回直木賞受賞。95年『夢幻の山旅』で新田次郎賞受賞。2000年『夢顔さんによろしく』で柴田錬三郎賞を受賞。

語り◎西木正明(作家)
聞き手◎『Fishing Cafe』編集部(遠藤 昇)
写真◎斉藤文明 Photogarphs by Fumiaki Saito