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三陸沖に新たな釣流(潮流)を見い出す 親子2代の宮古の遊漁船 撮影◎狩野イサム
2キロほどのマダラを持つ平進丸2代目船長、佐々木俊幸さん。子供のころから父の船で遊び、釣りに明け暮れていたという。現在は日専連宮古青年会の会長も務め、宮古の復興はもちろん、新たな街づくりにも貢献している。
2キロほどのマダラを持つ平進丸2代目船長、佐々木俊幸さん。子供のころから父の船で遊び、釣りに明け暮れていたという。現在は日専連宮古青年会の会長も務め、宮古の復興はもちろん、新たな街づくりにも貢献している。  

1970年に創業し、三陸の遊漁船のパイオニアともいえる岩手県宮古の平進丸を取材した。三陸沖は、ヒラメやタラ、ソイ、アブラメといった北方魚種の宝庫であり、最近ではジギングによる大物タラ、深海アブラコなど、大物ルアーゲームが密かな人気を呼んでいる。その中心的な活動を行っているのが、1970年から親子2代で遊漁船を営む宮古・栄進丸だ。

そこで今回は、ジギングによる大物タラを狙い、宮古沖の水深100メートル前後の根を攻めた。しかし、あいにくその日は、風速7メートル、波の高さは5メートル以上もあり、カメラマン以外は、かなりの船酔いに悩まされた。ただ、釣果はまずまずで、青物とは異なるタラ特有のトルクのある引きは、絶筆に尽くしがたいものがあった。

そして、その釣果の背景には、震災の大津波でも奇跡的に残った栄進丸の佐々木船長の操船技術が大きく関係していた。

狭いポイントでも沖からやってくるうねりを交わしながら、船を流し、移動中の追い波でも上手にうねりに任せ、まるで滑るように船を走らせるのだ。

三陸の外洋は決して小型漁船には向いておらず、常に大きいうねりがあり、風も強い日が多い。そのため、このうねりと風を上手に利用できるかが、腕の見せ所だという。しかも、この風とうねりが海底をかき混ぜ、沿岸の養分を運び、三陸の海を豊かにしているのだという。

また、創業当初は小さなサッパ船から始めたのだが、大きくしたこの船は、昔に比べるとかなり楽で、船が変わると、釣りの世界が以前とはまったく違うものになったという。

3月にはタラのジグ。深さは100メートル以内。5月はカレイ。カレイが終わればヒラメ、夜のスルメイカなどがあり、次がまたタラ。秋口のタラは白子が入り、それを目的に来る釣り人も増えた。そして12月にはオキメバルや縁起物のナメタガレイといったように、船を変えたことで、海が大時化となる1月、2月以外は船が出せるようになったという。

最近の平進丸は水深300メートルというディープジギングにも挑戦している。親子2代で震災にも負けない軌跡的な出来事をバネに、三陸の船釣りに、新たな風を吹き込んでいる。

平進丸の船長、佐々木敏雄さん。今年で77歳。宮古沖の海をプロの漁師より理解している。
平進丸の船長、佐々木敏雄さん。今年で77歳。宮古沖の海をプロの漁師より理解している。
●平進丸 http://heishinmaru.com/