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本格的な氷上釣りの魅力を伝えるため、北海道幌加内町、雨竜川上流に位置する朱鞠内湖(しゅまりないこ)を取材した。

ここは堰止湖だが、日本最大の湛水面積を持つ。入り組んだ複雑な湖岸や大小の島、そして周囲の原生林は、まるで北欧を思わせる風景だ。「朱鞠内」はアイヌ語の suma-ri-nay シュマリナイ【石・高くある・川(河谷)】とする説がある。その名のとおりここは、内陸部に位置し標高も高く、緯度も高い。そのため、北海道内でも特に寒冷な地域として有名だ。そしてここには、淡水で一生を過ごすイシカリワカサギという、珍しいワカサギが棲息する。

ワカサギ釣りの魅力のひとつは、穂先が沈み込むアタリの感じが、大きい魚に引けをとらないこと。華奢なタックルではあるが、「ツン、ツン」とくる手応えは普通の釣りと全く同じだ。魚の反応が直に伝わり、釣りのもっともエキサイティングな部分が集約している。言い方を換えれば、誰もが「釣りの醍醐味をきちんと楽しめる」ことだろう。

「本州から訪れるお客さんはまだ少ないのですが、『氷の上に立って釣る』という面白さをぜひ体験してほしいと思います。自分が立っている場所の真下に魚がいるという感覚は、船でも味わうことができません。氷の船に乗っている感覚に近いかもしれませんね」とシュマリナイ湖ワールドセンター代表の中野信之さんは言う。

 この取材では、まず釣り上げたワカサギを生きたまま水槽に入れて移動し、各ポイントに仕掛けていく作業を優先した。あわよくばイシカリワカサギを活餌に、アメマスやサクラマス、イトウなどを釣るためだ。穂先に鈴を付けた6〜8フィートの錘負荷20号程度の竿、スピニングリールの1000番にナイロン4号を巻いたタックル。道糸の先端に三又サルカンを付け、ハリスのフロロカーボン4号をカン付きセイゴ針12号に結び、錘は4号程度と非常に簡単な仕掛けだ。

釣り方は浅いところなら、一度底に落としてから上げる。深いところでは氷の下から2〜3尋(ひろ)のところでアタリを待つ。釣りやすいのはサクラマスで、理由は回遊能力だ。イトウやアメマスはサクラマスほど回遊せず、その分チャンスは少なくなる。鈴の音が鳴り出して、穂先が一気に引き込まれたら合わせを入れる。鈴が鳴るまではせっせとワカサギを釣る、というのがアイス・フィッシングの概略だ。

今号の特集TOPでは、朱鞠内湖のワカサギ釣りとそのワカサギを餌にしたアイス・フィッシングをレポートしている。それは、太古より変わらぬ趣の雪中で、眠っていた野性が蘇り多角的視点が鍛えられる「太公望の粋な釣り」でもある。