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宮古島磯釣り研究会が日本一を目指した2日間の挑戦! (本誌P.35〜38) 文◎フィッシングカフェ
編集部

金城さんが10分ほどの格闘の末に釣り上げた15kgのガーラ。その日の満潮は19時47分。その2時間後に食いついてきた。無風状態から風向きが変り、空気が動き出した1時間後のアタリ。


2008年に50kgを超えるロウニンアジを釣り上げた、宮古島市の大久保忠司さんが所属する宮古島磯釣り研究会「極」。彼らの活動目的は、ずばり日本一の大物を釣るための研究。 その成果は、南西諸島の大物磯釣り師を驚かせるほどだ。そこで今回、本誌の取材のために仕事を休み、会員の総力をあげ、日本一の巨魚に挑戦してくれるという。

対象魚は時期を考えガーラ一本に狙いを定めた。日取りは大潮新月の2日間。メンバー12名を実績のある4ヶ所のポイントに配し、満潮時に合わせ初日が6時30分と19時47分。2日目が7時04分と20時24分前後とし、ガーラの食いの良い夕まづめ、朝まづめの計4回のチャンスを活かす、という戦略を会長の赤嶺さんは企てた。

数日前に通り過ぎた台風2号は、宮古島周辺に強烈な湿度を運んできた。汗は皮膚から蒸発せず、紙という紙は湿り、洗髪した髪の毛は一向に乾く気配はない。初日の午前4時、闇のなかポイント3.5番にたどり着くと、会のメンバーたちはすでに仕掛けを投げ込み、遠く薄明かりのさすコバルトブルーの海を見つめ、静かにアタリを待っていた。


宮古島記録、50キロのガーラを釣った大久保忠志さん。狙ったわずかなチャンスで自己記録の30kg、50kgには及ばないが、14.8kgのガーラを釣り上げる腕前はかなりのものだ。エギングや上物のカーエー、そして現在は100kg超えのアーラミーバイを狙っている。


宮古島でのガーラ釣りは、“打込み泳がせ釣り”がメインだ。イシダイ用遠投竿にイシダイ用両軸リールを使う。道糸はナイロン20号〜50号を200〜300メートル、もしくはPE20号以上を巻く。ハリスはナイロン30〜60号か、フロロカーボン20〜50号を1ヒロ程度。針はカン付きムロアジ針22号〜28号かタマン針22号。チモトはケプラーで編み込み補強する。オモリは50号を遊動または、固定仕掛けで使う。

初日の朝まづめは空振りした。天候が怪しいことから、初日の夕まづめから二日目の朝まづめまで、完全徹夜で日本一を狙うという。そして、ほぼメンバー全員がそれに習った。




悪天候でも美しい宮古島の海。沖縄本島から南西に約300km、太平洋と東シナ海の間にある島。南西諸島西部にあり、沖縄県内では、沖縄本島、西表島、石垣島に次いで4番目に広い。

吉報の口火は、二日目の午後10時。今回の挑戦のため助っ人に頼んだ、金城さんの持つ自慢の竿、鳳翔500が暗闇のなか強引に絞り込まれた。そこでまず15キロのガーラを釣り上げ、その4時間後、完徹の大久保さんの竿にも15キロガーラが食いついた。残念ながら天候悪化のため、その後の釣行はキャンセルとなり、日本一の挑戦は終わった。

彼らのガーラ釣りに対する、真摯な取り組み方を見ていて感じたのは、完璧な準備、周到な対応のうえに、ある領域から“釣り人がガーラを釣るのでなく、ガーラが釣り人を選び、針に掛かってくれているのではないか”ということ。その話を会長の赤嶺さんに言うと、別れの挨拶の代わりに「宮古の100キロを超えるアーラミーバイは、もっと釣り人を選びますよ」と、にんまりと語ってくれた。