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極東ロシア、イワナ探査釣行で感じた地球環境の兆候・変化 (本誌P.5〜14)  文◎フィッシングカフェ
編集部


巨大なアメマスやオショロコマを求め、ハバロフスク空港から、およそ直線距離で2500km北上したオホーツクに流れ込む、オホタ川へ飛んだ。

オホタ川は、オホーツク海沿岸の人が訪れやすい河川で最も魚種が多く、魚影も濃い川。

川には、おびただしい数のシロザケが遡上していた。海から約70kmも遡上してきたシロザケの銀毛は剥げ落ち、痣のような婚姻色に彩られている。

シロザケは、釣り人には人気がないが、サケ属のなかでもカラフトマスに並ぶ、進化した種だ。抱卵数も多く、発眼率も高い。そのシロザケが、流れの緩やかな支流に群れを成して入り込み、すでに産卵床を作っているものもいる。

オホタ川では6月後半から7月にかけてキングサーモン、8月のカラフトマス、9月のシロザケ、ギンザケの遡上が見られる。また、8月には70cmを越える巨大な降海型のアメマスが遡上するという。

しかし、例年、その数は減少しているという。今回、偶然ロッジで一緒になった、べネズエラの大学で淡水魚の研究をしている研究者の方の話によると、
「オホタ川ではヒグマの出産数が、この数年で明らかに減っている。その大きな要因は、年によって変わる著しい気候変化だろう。安心して子供が産めないからではないかと言う。川にはシロザケは相変わらず多いが、ギンザケやキングサーモンはここ数年減る傾向がある」という。

ヒグマの出産・生育にとって、サケの遡上数の良否は大切な要因だ。その影響がヒグマの出産減少にあらわれており、サケは海の中で気候変動を感じ取り、産卵床が作りやすいか否かなど、川の状態を感知しているのではないか、という。ただ、数年後、気候が安定すれば、海でじっくりと待機して大きく育ったサケたちが遡上するかもしれない、ともいう。いずれにしても、極北では地球温暖化の影響が目に見える形で現れている。