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(本誌P.17〜22) |
文◎遠藤 昇
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モルジブ共和国、マレ空国に現地時間23時半に到着。その時間に到着する便は、僕らが乗った成田からの便しかない。しかし、入国審査、税関を抜けるのに1時間以上かかる。南回帰線を越えると人は仕事をしたがらないものなのか。
空港は空国機能だけの島だった。モルジブは広大な環礁地帯が国土だ。街も村もすべてがその環礁地帯に点在する島々にある。首都マレも自転車で30分もあれば一周できてしまう。そのため、空港ロビーからは何処へ行くにも、まず水上バスに乗らなければならない。
僕らはその水上バスに乗り、これから始まる海上生活のホテル船、ドルフィン号に向かった。船倉に客室が5部屋。合計12名宿泊できるドルフィン号は他のホテル船に比べてかなり年代物。それぞれの客室にはクーラーもシャワー&トイレルームも装備されているが、重油の臭いがたちこめ、息苦しい。環礁地帯なので、日本の近海のように揺れることもなく、まるで桟橋にいるようなのだが、こと寝るという点については快適とは程遠い。
最近のホテル船は大型化、高級化が進み、周辺に停泊している船を見ると歴然とした差を感じる。6泊7日エアーチケット代込み30数万円也のツアー料金が高いか安いかは別にして、客室のみで考えれば、お金をもらっても泊まりたくないほど。で、しかたなく初日のみ客室で寝て、それ以後は屋上のデッキがベッドルームになる。客室は用を足すときとシャワー、そして荷物を置くためだけに使った。
客室はそんなだが、食事はかなりいける。スリランカ人の作る料理は揚げ物中心だが味付けもさっぱりとしていて胃もたれもしない。アメリカやNZ、カナダ、オーストラリア、そしてイギリスの一流ホテルのディナーより個人的には旨いと思う。そして、なんといっても一日中釣りができるのがうれしい。
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船上生活の一日は、まず停泊している船の上からのキャスティングで始まる。日の出とともに船の周辺におびただしいライズリングができる。そのリングめがけてトップウォータープラグを投げ込む。すると、サバやらカスミアジが面白いように釣れる。飽きた頃には朝食ができあがり、コンチネンタルタイプの朝食をパクつく。朝食が終わると、干潮のタイミングを見計らって、フライロッドを持ち船外機ボートでフラット(干潮時で膝上の遠浅の海)に上陸する。ボーンフィッシュの散策とリーフの切れ目に潜む小型のGTを狙いフライキャスティング三昧。昼過ぎにもどり、大サワラをトローリングで狙いながら昼食と移動。ポイントに着くと、今度はGTロッドでGT他カツオ、キハダマグロを狙う。陽が西に傾くころには、船上は狂乱し怒涛の興奮状態。こけしのようなでかいポッパーをビュンビュン投げ込む。そして日が沈むとシャワー。完璧なディナーとワインでくつろぐのだが、船の下には明かりで集まってきたプランクトンを求めアジが群れをなしている。そのアジをサビキで釣り上げ、ワイヤーハリスで武装した巨大な針に鼻掛けし、100号の錘を背負わせて、ワイン片手に泳がせ釣りが始まる。すると、ハタ類に混じり30キロを超すイソマグロとの大ファイトである。
そんな具合に毎日、すべての時間が釣り。GT狙いとか限定せず、色々な釣りを試す方が楽しいだろう。しかし、取材班は休む暇がないのがちょっと・・・・。それがモルジブ・フィッシング・サファリである。 |
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