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珠玉のネパール釣り紀行 その著者を魅了する“神の魚” (本誌P.23〜26) 文◎齋藤海仁
旅先のタイ・バンコックの古本屋で間違えて手に取ったネパールのガイドブック。ぱらぱらとめくってみたその本の片隅に小さな釣りの記事があった。〈大きなものでは体重50〜90kg〉〈ゲームフィッシュとしても面白い〉。ネパールには海がない。体重90kgといえば、淡水魚では稀なモンスターだ。その記述を見た瞬間、ネパール行きを即決。やがて足繁く通い、人生まで大きく変えてしまうとはこのとき予想だにしなかった――。

 これが小林龍彦さんとサハールとのなれそめである。
 アジアの特集を組むと聞いた瞬間、小林さんのサハールの記事が真っ先に頭に浮かんだ。それは『ネパール釣り紀行 人生を激変させた「神の魚・サハール」』という小林さんの著書を読んでいたからだ。
海外の釣行記というと、日本でも名の知れた魚を著名人が釣るものが多い。つまり、ある程度お膳立てが整っているものだが、小林さんの場合はまったく違う。はたして釣りができるのかどうかもわからないまま、単独でネパールの奥深くまで踏み込み、現地の人を巻き込みつつ、神の魚を求めて孤軍奮闘する。すべて手作りのこの過程は現代の冒険譚だ。だからこそ現地の人との深い交流が生まれ、魚を手にした感動も格別に大きい。

 著名人の書いた釣り紀行とはひと味もふた味も違う魅力がこの本には満ちている。もしネパールの記事を読んで興味を持ったなら、ぜひ本書を読んでほしい。釣り好きなら大いに共感できる何かがそこにはきっとある。