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(本誌P.31〜36) |
文・写真◎大川 直
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神奈川県の芦ノ湖は、一大観光地である箱根のただなかにあり、わが国の内水面のゲームフィッシングを牽引してきたフィールドである。この芦ノ湖の漁業協同組合職員である、栗本和彦さんに、芦ノ湖の釣りについてのさまざまなお話を伺った。自身も熱狂的な釣り人である栗本さんは、釣りを楽しむ立場から、そして釣り場を作る立場からの2つの側面で、芦ノ湖を考えることが出来る希有な存在だ。
ニジマスなどのマス類に関して、おおざっぱに言ってしまえば、芦ノ湖はたくさん魚がいる湖から、少ない湖へと変貌を遂げている。漁協の目指すところは「量より質」。1匹1匹のコンディション向上を目指し、また、希少魚でもあるサクラマスの増加、エサとなるワカサギの増殖などに力を注ぐ。
僕自身、芦ノ湖から30分程度に住んでいることもあり、年に何度かは足を運ぶ。たしかに、以前は簡単に釣れた放流直後のニジマスは、釣りづらくなったように思う。常連と思しき釣り人と会話を交わしても、共通話題は、数が出にくくなった、ということが多い。
だが、反面でこれまでに見ることが出来なかった、美形と称すべきマス類が増えたのはたしかだ。以前より水質も向上したため、食べても旨い。
芦ノ湖は、以前の自然の姿に戻りつつある、というわけではない。もともとこの湖にはマス類は存在しなかったからだ。芦ノ湖のマス類はすべてが放流され、人間の手によってコントロールされている。日本の内水面の多くのマス類も同様と考えていい。この現実をあるがままに受け入れ、その上で釣り人としてどのように関わっていくのか? どの状態をよしとするのか? 釣り人によって答えは異なるだろう。少し考えさせられた取材となった。
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