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(本誌P.21〜26) |
写真◎津留崎 健 文◎木下卓至
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奥利根湖を案内してくれたのは、みなかみ町でボートショップを経営しながら、アウトドアガイドをしている高柳盛芳さん。一緒に湖の上にいると、彼の顔の広さに感心してしまう。出会うボートにいちいち声をかけて釣果を訪ねる。常連の釣り人なら、世間話をするように釣況を伝えたり、愚痴を聞いてあげたり。顔見知りでなくとも、釣れてるタナを教えてあげたり。相手は釣り人とは限らず、カヌーイストであれば時季の山菜についてひとしきり盛り上がる。とにかくマメであり、湖上で知り合った人たちは親しみを込めて高柳さんのことをモリさんと呼んでいる。
高柳さんにとっては、奥利根湖とそれを取り巻く原生の自然すべてが遊びのフィールドだ。湖と渓流の釣りのほか、山菜採り、キノコ採り、森のトレッキング、動物の足跡を追うアニマルトラッキングなどなど、楽しみ方はいくらでも知っている。熊撃ち猟師に弟子入りして身につけた自然との接し方を、出会う人々に少しずつ教えてくれている、先生のような人だ。
「奥利根の自然のことだって、まだまだ知らねえこといっぺーあるからよ」と、フィールドを広げずに地元限定で活動を続けている。大切なのは、どこへ行くかではなく、何をするか。わざわざ海外へ行かなくても、身近にこれほど大きくて濃い自然があることを再発見させてくれるのだ。
自然のすばらしさやそこで遊ぶ楽しさをみんなが知れば、もっと大切にしなければと思うようになってくれるはず。はっきり言葉に出さなくても、高柳さんの行動からはそうしたメッセージが伝わってくるようだ。 |
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