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小笠原分室を開設して総力取材! (本誌P.15〜42) 文◎木下タクジ

東京の南、約1000キロの洋上に浮かぶ小笠原の島々は、本土では幻と冠されるような大物を狙えるチャンスがまだまだ残されている、釣り人にとって憧れの地。フィッシングカフェ最新号の特集では、『小笠原環境博物詩』と題して、小笠原の自然を見守り続けてきた人々を取材することになった。
ご存じのように、小笠原諸島へアクセスする一般ルートは、東京・竹芝と小笠原・父島を25時間で結ぶ「おがさわら丸」のみ。往復、一航海の6日間という限られた時間のなかで総力取材を敢行するべく、今回は特別に「フィッシングカフェ小笠原分室」を臨時開設。スタッフ総出で、小笠原を駆け回ってきた。

取材したのは、自らも釣りを愛する小笠原人。漁師、水産技術者、アウトドアアクティビティのガイドと職業はさまざまだが、ほとんどが小笠原の自然に惚れ込んで本土から移り住み、海や魚と関わりながら20年、30年と暮らしている海人だ。彼らの暮らし方や言葉からは、小笠原の自然が貴重な財産であることに早くから気づき、それぞれの立場で自然と共生する道を模索してきたことがうかがえた。
25時間あれば、地球の裏側までだっていける現在にあって、ゆったりとした時間の流れが、島に暮らす人々の独自の価値観を育んでいると感じられる。
もっと頻繁に小笠原へ通えるように、飛行機でも高速艇でも整備しほしいと願う人も多いだろう。しかし、25時間の船旅を嘆くよりも、日本にこれほどの自然が残されていることに感謝すべきなのだ。きっと。