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水中写真家が陸で見せた素顔 (本誌P.5〜14) 写真◎津留崎健
文◎齋藤海仁

日本を代表する水中写真家として、第一線で活躍を続ける中村征夫さん。当たり前の話だけれど、水中での撮影はダイビングをしながら行なうわけで、海に潜った時間も半端じゃない。その集大成ともいえる写真集が一昨年発売された『海中2万7000時間の旅』だ。1日8時間毎日潜ったとしても3375日。約10年。実際には1日8 時間潜ることも、毎日撮影することもない。まさしく驚異的なキャリアである。
中村さんに取材をお願いしたときのこと。「釣りの話なので、どこかで竿でも出しながら」と、提案すると、「いいですねぇ。どんな釣りでもいいんですか? じゃあ、マブナがいいな。ぼくはフナ釣りが大好きなんですよ」
“海中2万7000時間の男”としては意外なお返事。理由は中村さんが秋田県の山里で育ったからだという。その中村さんがどのようにして世界の海をまたにかける水中写真家になったのか……という話は本篇にゆずるとして、取材の現場でもまたびっくり。

中村さん集合場所には誰よりも早く到着し、釣りのポイントを選び、釣りを始めればエサやタナを臨機応変に変える。撮影が終了しても「もう1尾」と納得のいくまで粘り、挙げ句の果てには、ギンヤンマを追いかけたり、餌付けされたコイの撮影を始めたり。好奇心が旺盛で、好きなことにはまっしぐらな中村さん。わずか半日程度の取材とはいえ、その人となりは作品にも負けず劣らずとても魅力的だった。