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表現としての釣り写真の可能性 (本誌P.15〜30) 文◎木下タクジ
今号の特集は『写真の力』と題して、釣りにおける写真表現の世界を探っている。冒頭では、アメリカや日本で活躍する屈指の写真家が登場し、自らの表現世界を語っているが、それぞれの写真と生き方が見事にリンクしているのがわかり、興味深い。
心象風景として釣をとらえるチャールズ・リンゼイ。冒険を愛し、自然の雄大さを取り込もうと意識しているブライアン・オキーフ。絵を描くように写真を撮るヴァレンタイン・アトキンソン。一本の糸を通して釣り人が感じる興奮や緊張感を伝えたいとする津留崎健。当たり前といえば当たり前だが、同じジャンルの写真を撮っていても、姿勢や考え方は写真にしっかり浮かび上がっているのだ。
今回、日本人写真家としては、本誌でも多くの撮影を手がけている津留崎さんに登場いただいている。比べてみてあらためてわかるのが、海から川まで、魚種ごとといっていいほど釣りのジャンルが細かく確立されている日本独特の釣り事情だ。ほかの3人のアメリカ人写真家がみな、フライフィッシングを愛し、そのジャンルに集中して撮影しているのに対し、津留崎さんはタナゴ釣りからブルーマーリンのトローリングまで幅広く撮影している。自身も、その多くのジャンルで釣り経験を持っているから、撮りどころを心得ているわけだ。
以前は釣行の証拠のように扱われていが、写真だけで成立し、表現される世界があることを再認識させられた。