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(本誌P.37〜40) |
文◎齋藤海仁 写真◎津留崎健
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岩魚職漁師の末裔であり、乗鞍に生まれ、育ち、暮らし続けてきた本物の「山男」、福島立實さん。そんな福島さんは山の知恵の宝庫。そして、思わず引き込まれてしまう話術の持ち主だ。
本文で紹介できなかった数々の名言や体験談のうち、いくつか釣りに関するものをご紹介しよう。
まずは「岩魚が鳴くときはよく釣れる」。福島さんによれば、釣った岩魚が「キュウ」という音を立てることがあるという。これは浮き袋から空気が漏れる音で、岩魚がうわずりがちの状態。
つまり、捕食の体勢を示している。こういうときは岩魚がとてもよく釣れるらしい。
「普段は下流、秋は上流」はアワセ方について。エサをくわえた瞬間、岩魚はふつう上流に逃げる。
だから、基本的には反対の下流方向にサオをあおってあわせるのだけれど、産卵期から冬は決まって下流に逃げるという。
そのため、晩秋は上流に向かってあわせたほうがいいとのこと。
個人的に興味深かったのは、川虫が羽化する時期は岩魚がヤクザみたいに上目づかいになるという話。
岩魚が水面をずっと見ているから、筋肉にクセがついてしまい、目が上に向いてしまうというわけ。逆に、石に着いた川虫を食べているときは下を向くという。
本当かなと思わなくもないけれど、魚を釣り上げると、目が上か下に片寄っているのは確か。こんな話も含めて、福島さんの話はとても面白くて、いつまでも飽きなかった。
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