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(本誌P.25〜28) |
文◎大川直
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フィッシングカフェの25号特集内で紹介した、千葉県勝浦市にある「臨海荘」。本誌では、ここを常宿として大ダイに挑戦し続けた、福田蘭童を中心にスポットをあてた。
ページ数をより多く割くことが出来たなら、もう少し掘り下げて触れたかった人物がいた。それは、いまは亡き「臨海荘」の初代主人、矢代善春だ。
釣り宿の魅力は、第一はその周囲にある釣り場が豊かなことにあるだろう。釣り場に魅せられて釣り人は足を運び、必要性に迫られて宿を探す。これが通常の流れだろう。
しかし、通ううちに逆転現象が起こる「あの宿に泊まるのが楽しみで釣りに出掛ける、釣果はそこそこでいい」となる。
料理、風呂、眺望など、宿の魅力はさまざまにあるだろう。しかし、その根源となっているのは主人の人柄だ。宿の規模が小さければ小さいほどその傾向は強くなる。直接触れあう機会も増えてくる。
「うちの親父はオーラっていうのかな、人を惹きつける魅力があったと思います。手紙を出したり電話したりとマメだし、すぐ友だちになる、そんなところがありましたね。知識も広くて深かったので、どんな方とでも話ができる人でしたよ」
現在の「臨海荘」主人、矢代嘉洋の先代評である。福田蘭童はじめ、林房雄など、当時の文壇を賑わせた作家や文化人たちに愛された「臨海荘」。愛された一番の理由は、主人である矢代善春、その人の魅力であったに違いない。
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