Fishing Cafe

Fishing Cafe ProjectWorld Fishing ReportFishing SalonMagazineBSTVMaking of Fishing Cafe
Top of Making






エコツーリズムへと舵をきった北海の兄弟島 文◎佐久間昌一
天売島と、隣に浮かぶ焼尻島は、良く似た境遇の兄弟島だ。ともに周囲約12km、面積は天売の人に言わせると「うちの方が焼尻より畳一枚分広い」らしい。ふたつの島はかつてニシンの通り道にあたり、北海道本土よりも先に文化がもたらされたというほどの繁栄をみた。ニシンが去った現在も、ウニ、エビ、ホタテなどなど、島の暮らしを支えるのは北の海の豊かな恵みだ。

天売では長い間、海鳥が居るのはあたり前のことだった。カモメは「ゴメ」、あとの海鳥はひとまとめにただの「トリ」だった。それが今では、世界最大のウトウのコロニーであることが知られ、貴重なオロロン鳥(ウミガラス)を見ることが出来る島として、天売は《100万羽の海鳥が繁殖する聖地》になった。かつての食べ歩き観光客は探鳥エコツアーにとって代わり、島民の意識も大きく変わった。

一方の焼尻は、貴重なイチイの原生林とさまざまな野鳥の渡りの中継地として知られている。天然記念物にも指定されている焼尻の自然林は、ニシン漁の隆盛とともに急増した伐採から森を守るため明治13年(1880年)に発布された伐採禁止令以来、多くの先人によって守られてきた。5万本とも言われるイチイの原生林は国内随一、なかには樹齢300年を超える老木もあり、風雪に耐えて地を這う巨木の姿が、かつては丸木舟を造れるほどの大木が生い茂っていたという焼尻の森を彷彿とさせるという。

「あたり前の風景」は、「かけがえのない貴重な環境」になった。島の人々はいま、自然のなかでの新しい営みの方法を次の世代へ引き継ぐ努力を始めている。北海の好漁場には、釣りだけではなくエコツーリズムという大きな変革の潮流があった。