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カジキ釣りの魅力あれこれ (本誌P.19〜22) 文◎齋藤海仁
カジキが偶然釣れた魚だったのは昔の話。今やカジキはねらって釣るもの。そこには緻密な戦略と技術が確かに存在する。
カジキを釣ろうとしたらまず魚を見つけることが先決だ。鍵は情報である。かつては勘と経験が頼りだったところに、ハイテク機器が登場したおかげで魚を探すプロセスが急速に面白くなってきた。
黒潮のようすを伝える「海況速報」に、最新の釣果データと海底地形図を合わせて、おおまかにねらいをつける。さらに米国海洋大気庁の気象観測衛星「NOAA」による海洋表面温度画像や、周囲360度の海底の様子を探れる「ソナー」、そして現場の潮況などを組み合わせればかなりのところまでポイントを絞り込める。大海原を縦横無尽に駆けめぐるビッグボートで巨大な魚を追いつめる。このスケールの大きさはカジキ釣りならでは。
カジキが他と異なるのはチームの釣りという点である。アングラー、魚を寄せたときにリーダーをつかむリーダーマン、タグあるいはギャフを打つギャフマン、ボートをコントロールするキャプテンらがそれぞれに自分の役割を果たし、全員の呼吸が合わなければ成功は望めない。歴戦のチームのファイトには一糸乱れぬ美しさがある。全員が一丸となってビッグマーリンをキャッチしたときの感動はひとしおだ。

圧巻はなんといってもヒットした直後のテールウォークである。ナイフのように海面を切り裂き、巨体を垂直に立ててときに何10メートルも疾走する。その勇姿を目にした釣り人は、決して忘れることはできないだろう。サイズと迫力ではマグロも引けをとらないが、ファイトの華麗さでは明らかにカジキが上。だからこそカジキは世界のアングラーを魅了し続けているのである。
本文でも触れたように、日本には世界最大級のカジキ釣りトーナメントがある。毎年、伊豆半島南端の下田港をベースに開催される「ジャパン・インターナショナル・ビルフィッシュ・トーナメント」、通称「JIBT」である。
JIBTの取材はかれこれ5年目になる。主催はIGFAの日本版ともいうべき日本ゲームフィッシュ協会(JGFA)で、今年は107チーム、553名が参加した。
大会は3日間にわたるポイント制で競われる。ラインクラスごとにハンデを設定したり、資源保護の観点から、釣った魚にタグを打ってリリースするタグ&リリース(T&R)を設けたりするなど、ルールは多少複雑だが、毎度ハイレベルな闘いが繰り広げられている点は、他の釣りとなんら変わるところがない。
名だたるビッグボートがひしめくスタートフィッシングはいつみても壮観だ。今年は伊豆諸島西側に冷水塊が居座ったせいで、3日間で3尾と釣果は非常に少なかったが、01年の23回大会ではなんと52尾という記録がある。この数字を見ても、日本近海が世界有数のフィールドであることがわかるだろう。