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根っからのエンターテイナー (本誌P.5〜14) 文◎齋藤海仁
ハードボイルド小説で一世を風靡し、最近は『水滸伝』や『三国志』などの時代モノでも人気を博している売れっ子作家、北方謙三。巻頭インタビュー取材のため、海辺にある彼の別荘を訪れたのはある快晴の日のことだった。

海岸の小道を歩いて ゆくと、いきなり桟橋に係留されたまばゆいばかりの真っ白な新艇が目に飛び込んだ。アメリカ西海岸の名ビルダーが手がけたそのオープンボートはまさにクールのひと言。さらに道を進むと、南国を思わせる椰子の木の奥に、これまた真っ白の瀟洒な別荘がある。玄関前のオープンテラスには木製のビーチベッドが置かれていて、そこはもう完全に南国リゾートの世界。東京からわずか1時間あまりのところにこんな場所があるのがにわかに信じられなかった。

話を聞けば、やはり実力派のエンターテインメント作家である。面白い話が速射砲のように次から次へと飛び出してくる。釣りはもちろん、悪ガキ時代のスイカ泥棒やニワトリ泥棒、北方さんがボーイ役として倍賞美津子の胸元に手を入れさせられたロケの話など、サービス精神旺盛で巧みな話術に時のたつのも忘れてすっかり聞き入ってしまった。

次は撮影だ。と、そのとき北方さんの秘書からひとつだけ注意があった。別荘を写さないでほしいという。別荘が写真に出ると、プレジャーボートや観光船が目の前まで見物に来るのだそうだ。確かに迷惑な話だが、笑ったのはそのあとのこと。見物客に対してなんと北方さんはときどき手を振って応えるのだという。

さすが、当代随一のエンターテインメント作家。売れっ子になるにはこのくらいのサービス精神が必要、と納得させられるエピソードだった。