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自分なりのイメージをつくる試行錯誤が名人と凡人の違いを生む!? (本誌P.57〜60) 文◎本誌編集部
いつものことながら、釣りの名人といわれる人たちの言葉には驚かされる。ジギングリールの話をうかがっていたときの、佐藤統洋さんもそうだった。ジギングは、深いところでは自分の手元から数百メートルも離れたところにあるジグを操作して魚の動きを演出する釣り。どういうアクションを加えたらジグがどのていど動くか、それに対して魚がどう反応するか、最初のころは佐藤さんでもそのイメージをつかめていなかったそうだ。そこで自分の感覚を磨くためにやったのが、実際にボンベを背負って潜り、海中で起きているすべてを自分の目で観察すること。船の上の人に海中から風船を使って指示書を送り、早巻きしたりシャクリを入れたりしてもらって研究した。
「ジグを動かしていると、近くにいる魚はみんな寄ってくるんですよ。でも喰わない。喰うのは、自分の視界の彼方のとんでもないところからやって来る魚だった。ジギングはイメージの釣りだから、イメージのもとになる根拠が必要ですよね。それを得るために、最初のころはだいぶ潜りました」
ジグを着底させてそのまま動かさずに置いておくと、じっと観察していた魚が、突然にパクッと喰うんですよ。
「ジグを着底させてそのまま動かさずに置いておくと、じっと観察していた魚が、突然にパクッと喰うんですよ。それを見て、ジグはできるだけ動かさないほうがいいと思うようになった」。それまで主流だった高速リトリーブに疑問を持ち、ゆっくり繊細にジグを動かすほうが魚に警戒心を持たれないのでは、と新しい釣法を考え出したのもこうした観察のたまものだったそうだ。
名人と呼ばれるまでになるには、こうした一つひとつの積み重ねがあった。道具も釣り方も自分で考え、工夫しながらやって来た佐藤さんから見ると、いまの釣り人はとても歯がゆく感じてしまうという。テクニックは雑誌などで公開されているものの真似ばかり。それでなまじっか釣れるようになってしまうから、自分で工夫することはほとんど無くなっている。そのままでは釣りを続けていっても、自分で新しいものを生み出すチャンスはほとんどないだろう。もう1歩進んだ先にさらなる釣りの深みがある。そんなことを感じさせる佐藤さんの話だった。