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ああ、桜鯛は何処へ (本誌P.41〜42) 文◎本誌編集部
現地で『ビニール』と呼ばれるナイロン素材の擬似餌があると聞いて、特集取材のために和歌山県の加太へ飛んだ。潮の流れが速く、明石や鳴戸とならぶ絶品タイの産地として、京阪神では有名な場所でもあるという。チープな擬似餌で高級魚を釣るというギャップも、なんとも面白そうだった。

取材は4月の半ば。例年なら桜鯛の季節だというのに、水温が急低下してしまって、この2週間ほどはほとんど釣れていないという。お世話になる清海丸の石谷船長が、会うなり「ホント、悪いときに来たなぁ」と嘆くほど。一本釣りの船が普段の半数ほどしか出ていないのだから、どれほど釣況が悪いかおわかりいただけるだろう。そして、予想通りに魚の反応は渋かった。夜明けとともに出航して半日、ビニールの色を変え、サイズを変えて試してみるも、タイが食ってくる気配がまったくない。船舶無線から聞こえてくるのも、「アカン、アカン」という力ない声ばかり。石谷船長からも、「取材じゃなければ、とっくに帰ってビール飲んでますワ」とグチがこぼれたときには、「もうひと頑張り、もうひと頑張り」と言いながらも、さすがに諦めムードが漂ってきていた。

小さいながらもきいれいな桜色の魚体とご対面

そんな状況の中で、小さいながらもきいれいな桜色の魚体とご対面できたのだから、もう十分にラッキーだったといえるでしょう。無事に写真に納めた後のタイは、石谷船長のご好意でスタッフの胃袋に納めさせていただきました。急流育ちの筋肉質の身は、地元漁師が日本一と自慢するだけのことはある絶品もの。ごちそうさまでした!