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擬似餌集めも楽じゃない
文◎本誌編集部
今号の特集『擬似餌の魔力』、バラエティに富んだ、読みごたえのあるものにまとめることができましたが、制作にとりかかったころはトライ&エラーの繰り返しで、締め切りに間に合うのかヒヤヒヤものでした。エギや毛鉤のように武芸や遊びとしての歴史のあるものは、文献や研究者を簡単に見つけることができたものの、漁師が使う擬似餌に関しては情報が少なく、取材対象を見つけるまでが大変でした。

例えば西湘(せいしょう)の弓角などもそのひとつ。撮影用には、プラスティック製ではなく、動物の角から作られた本角を用意したい。そう考えて動き出したものの、プラスティック製が主流となって久しいいま、本角を製作していた人を見つけるのはおろか、所有している人すらなかなか見つけられません。小田原や大磯の釣具店に電話をかけまくり、弓角作りの名人と言われた方の息子さんにたどり着いたときには、正直ホッとしました。ところが、いざ連絡をしてみると、名人の作はすでに散逸していて、ここでも本角にお目にかかることはできません。やはり30〜40年も前のものを見つけ出すのは簡単ではありませんでした。

はてさて途方に暮れているときに力を貸してくださったのが、小田原の釣具店のご主人でした。地元のお客さんに声をかけて、物置や押し入れの奥に眠っていたと思われる古い弓角を集めてくれたのです。おかげで無事に撮影にこぎ着けることができました。ついでに弓角を使った「おおなわ」釣りに使われていたテーパー状に結われた縄や木製の大磯リールなど、貴重なものも見せていただきました。

弓角に限らず、今回の取材にご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました。