Fishing Cafe

Fishing Cafe ProjectWorld Fishing ReportFishing SalonMagazineBSTVMaking of Fishing Cafe
Top of Making






少年のように素直な気持ちで
いつまでも釣りを愉しみたいから  (本誌P.5〜14) 文◎本誌編集部
「いろんな釣りをやってきて色々な釣り人を見てきて思うんだけど、釣り師はその人間がどんな育ちをしてきた? あるいは今どんな状況で生きているのか? が見事にマナーや態度に出ますね」

取材もそろそろ〆にかかる頃に矢口氏はまるで独り言のようにそうつぶやいた。魚がいまいち食いが悪いときなど、それまでとても好感のもてた人が口が滑ったように、いやみを言ったりする。釣れない時には誰でも気分は良くない。それは本物の釣り師である証明でもある。風向き、気温、潮の具合など釣りは自然を相手にしているのだから、釣れないことは決して恥ずかしいことではないのだが、ついつい同じ釣り場に並んだ人の些細なことに腹を立ててしまう。そんな人は自分に対する腹立たしさを周囲の人に向けるという最低のことはしてしまうのだという。多分、そんな人は普通の生活の中でも同じことを繰り返しているんじゃないかと思う、と矢口さんは言う。

「初心者を大切にしない人も多いですよね。キャスティングが未熟で風に流されて自分のラインをまたいだりすると、『どこに投げてるんだ!』と怒鳴ったりする。そんな人はどこか無人島にいって、独りでずっと釣りをしていればいいと思う。釣りは、釣り場以外で色々なことを試したりしてきても、結局釣り場に数多く通うことが上達への一番の近道。キャスティングだって、足場を確保しながら風を読んで行うわけだから、釣り場で直にやった方が上手くなる。本人は謝っているのに、どうしてミスキャストした人を怒鳴ることができるんだろうか。怒鳴った釣り人は何様なのだろうか、と考えてしまうんです」

どんなに釣りが上手くても、過去にその人は大なり小なり先輩方に迷惑をかけている。それでも暖かく見守られながら、自分が今釣りをできている。そのことに感謝をするべきだという。釣り場は上手な人から初心者の人まで、また、釣りをしない人でも愉しむ権利があるのだから。

「バス釣りの少年たちのほうがマナーはいいような気がする。釣り師を見ていると大人の醜さが見えてきてしまう。自分もそうならないようにしないと、釣れないときほど考えているんです」。