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(本誌P.5〜16) |
文◎遠藤昇
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ボーンフィッシュの生息するフラッツ(環礁地帯の遠浅の海)には、様々な生き物がいる。甲殻類のカニやエビ、小魚、ペリカンやサギの類の鳥類…。ボーンフィッシュを探して歩いていると、30〜40センチの伊勢エビまで拾ってしまう。何しろ生態系が豊かなのだ。ただ、厄介なことにフラッツの深場には体長1メートルを超えるバラクーダが潜んでいる。苦労してせっかくランディングしようとしているボーンフィッシュをバクッ!とやられることがあるのだ。また、マングローブ脇などでフライを海水につけたまま呑気に歩いていると、突如チビ・バラクーダがその鋭い牙でリーダーごとフライを食いちぎられることもある。
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そんなバラクーダも対象魚としてはかなり楽しいファイターだ。ボーンフィッシュの群れが見つからないときなどは、リーダーの先にワイヤーティペットとポッパーを付けバラクーダを狙う。ポッパーを両手を使い速めにバシャ、バシャとリトリーブすると、黒い魚体がスーッと寄ってきて、フライをいっきに飲み込む。ちょうど、ワニが動物を飲み込むようなフィードスタイルだ。
ある日、イボンも80センチくらいのバラクーダを掛け、結構楽しそうにファイトしていた。すると、その下から2メートル近くもあるサメのようなバラクーダが現れ、手もとまで引き寄せていたバラクーダをガブッ! と一飲みされてしまった。僕もそのシーンを間近で目撃し、人間を襲ったりはしないといわれているが、恐怖のあまり呆然と立ちすくんでしまったこともある。魚というより海の猛獣といった印象、バラクーダにはさすがのイボンもかたなし、である。
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