大自然をバックに釣り人を捉えた美しい釣り風景。
魚が最後の力を振り絞り躍動する瞬間。
全知全能を一本のハリスに託し、銀鱗が輝く魚体を手にした釣り人の笑顔。
写真は人間と自然が真摯に対峙する姿を、直接に、しかも衝撃的に伝えてきた。
“釣り”という、いたってシンプルな楽しみの中に、人の心にこみ上げるロマン、心情、熱意、冒険心、好奇心。
そして、自然界の生物環境や大いなる生命の循環といった多くの語らいを、釣り人にもそうでない人にも分かち与えてきた。
海、山、川が一つの生命体となって機能する、地球という完全なる大地。
その完全なる大地の上で眠り、食べ、育む、釣り人や魚を含む多くの生物たち。
今号では、釣りや漁の写真を通して生命の躍動感と営みを伝える写真家6名の決定的な瞬間、そして写真への取り組みから、日本の釣り写真の進む方向を提案したいと思う。
写真◎(左上から)津留崎 健、松崎明治、足立 聡 古谷千佳子、残間正之、知来 要
取材・文◎遠藤 昇 他
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