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大間のマグロ「一本の道糸に夢をたくす漁師の技術」
綿密なデータと仕掛けの秘密が釣果を別ける 写真・文◎遠藤昇(フィッシングカフェ編集部)

津軽海峡にまるで斧のような形で突き出す下北半島の突端に位置する青森県大間町。ここは本州最北端の町として知られ、年間17万人を超える観光客がこの地を訪れる。北端の岬・大間崎に立てば、津軽海峡をはさんで函館の明かりが見えるほど近い。その沖合いは、日本海の対馬海流と太平洋の黒潮が出会う絶好の漁場だ。ブリ、タイ、ヒラメなど魚の種類も多く、海峡の早い潮の流れに洗われる荒磯ではコンブ、ワカメ、アワビなども獲れ、また、スルメイカやアカイカを中心とするイカの水揚げ量の多さは有名イカ類の総水揚げ量は年間14〜16万トン。対岸となる北海道の渡島の8万トンを合わせると、この海域はまさにイカの宝庫といえる。

そして、その大間町で明治時代から引き継がれてきた伝統漁法が「マグロの一本釣り」だ。漁師が腕一本で数百キロのマグロに挑む昔ながらの漁法は、作家・吉村昭氏によって描かれ映画化された「魚影の群れ」で全国から脚光を浴びた。大間で獲れた近海もののマグロは鮮度が高く、味が良いことから1キロ当たり数万円という高値がついたこともある。

日本海側と太平洋側から遡上する一尾数百万円のマグロを求め極秘である自前の仕掛けに命を掛ける雄大な男のロマンがここでは展開されているのだ。

そのまさに雄大な男のロマンに迫ったのがこのレポート。ティアグラ80にナイロン60号を巻けるだけ巻き、何とか黒マグロを仕留めようという意図もあった。しかし、実際は天候の悪化で当初3日間の釣行も1日しか出られず、大苦戦。しかも、この日はマグロの群れが底に潜み、大間で親子代々でマグロを追いかけている漁師の泉徳隆さんの秘密の仕掛けも空振り。何度か糸ふけがあり、もう一歩で食わせるところまでいくが、そこまで。

大間のマグロはやはり釣り人にとっては高嶺の花。ただ、泉氏の話によると、夏場の8月は30キロ前後の黒マグロがかなり釣れ、アングラーにとっては格好のチャンスではないか、という。ジギングロッドでも対応できそうだ。いつかは黒マグロと考えている人にはぜひ挑戦して欲しい。