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(本誌P.7〜14) |
文◎遠藤昇 |
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東京発6時30分、新潟経由で鶴岡着11時頃。海と空の境界線が灰色のグラデーションに消えていた。巨岩、奇岩に圧倒される海岸線は妖しく釣り師の心を惑わす。「投げ竿を持ってくれば」と、目は磯の隅々に吸い込まれる。フォトグラファーの津留崎さんのため息、遠藤のよだれ。「釣りは我慢」なんて誰が言った。
坂本屋のご主人の石塚さんは、「鶴岡の人は一日3回釣りに行くんです。朝飯前、夕飯前、深夜、夢の中」という。
「解かる、解かる、アノ磯みれば!」と2人は強くうなづくのみ。
湯川さん、辻原さん一行が遅れて到着。俄に活気づき、僕らは仕事モード。 |
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だが、気を許すと撮影用にそろえた料理にも箸が伸びそうになる。ここも我慢。そして忍耐。湯川さんの好奇心はここでも爆発。ご主人の石塚さんに質問・疑問の雨あられ。凄い。取材終了午後3時。お預け状態の津留崎さんと僕は言葉もなくせっせと片付け。どんがら汁、イシナギのお刺身・・・・。
「春の渓を待つ」、なんてかっこいい言葉だろう。でも、「解禁」という言葉の魅力には、やはりかなわない。 |
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